腎移植・透析統括センター

腎移植・透析統括センターについて

患者さんにとってよい医療の提供とは何でしょうか?
各疾患に対して、すべての治療のオプションを説明されることが大前提にあるのではないでしょうか?現在の日本の腎不全医療は、血液透析が96%と非常に偏ったものとなっています。
腹膜透析と移植を合わせて4%弱であり、これは、腎不全患者に正しくインフォームドコンセントを行っていない結果であるといわざるを得ません。
元来、医師は自分がやれる範囲の治療しか患者にインフォームしない傾向があると思われます。
しかし、これは、患者個人の治療選択の自由を奪うものであります。生存率およびQOLは血液透析と腹膜透析では、日本でのmega studyはありませんが、海外のものでは、PDを先にやって、HDに切り替えるほうが予後がよいという方向になりつつあります。
この結果をそのまま日本に当てはめることはできませんが、少なくとも、血液透析が腹膜透析より明らかに生存率およびQOLにおいて優れているという報告はほとんどありません。
また、血液透析と腎臓移植を比較した場合には、明らかに、腎臓移植のほうが生存率、QOLともに優れています。
また、血液透析においても通常のHDとオンラインHDFを比較した場合、QOLに関してはすでに数々の報告がなされており、生存率に関してもオンラインHDFの有効性は疑いの余地のないことが予想されております。
このように、腎不全医療の治療選択のオプションは従来と違いさまざまに用意されています。
ただし、これらのことがすべてできる施設というのはまだまだ少ないと思われます。
当センターでは、腎不全患者に血液透析、腹膜透析、腎移植を提供することが可能な包括的腎代替療法センターであります。

 当センターにおける腎不全の考え方

1.腎不全保存期に、インフォームドコンセントを行い、患者さん個々のライフプランに合わせた治療を提供する。

2.当院での新規透析導入患者さんに対しては残存腎保護機能を期待して、できるだけPDファーストではじめる。残腎機能がなくなったら、HD併用か、HDへの移行を考える。

3.他院より転院されてきた血液透析患者に対して、当院でできる最良の透析を患者さんに提供する。

4.腎臓移植に関しても必ず情報提供を行う。

CAPDとHDの違いについて

血液透析 CAPD
方法 人工腎臓を用いる 体内にある腹膜を用いる
手術 内シャント 腹腔内カテーテル
器具 人工腎臓装置 簡単な器具(持ち運び可能)
知識 無くても可能 必要
場所 透析施設(週3回通院) 自宅(月1~2回通院)
スタッフ 必要 不要(目や手が不自由な場合。要)
時間 1回4時間。週3回 1回約30分。1日4回 就寝時機械で行う方法もある
社会復帰 可能 血液透析より適している
老廃物除去 間欠的 持続的
タンパク質喪失 なし あり
アミノ酸喪失 あり なし
食事制限 厳密 血液透析より楽
日常生活 制限される 血液透析ほど制限されない
不適応 内シャント作成困難 重症の心不全 腹部手術後、手の不自由な人 神経質過ぎる人
その他 30年生存者がいる 硬化性腹膜炎などで持続困難となり血液透析に変更することがある

 腹膜透析の種類
腹膜透析には、自分で透析液を交換するCAPDと、装置が自動的に透析液を交換するAPDがあります。
体調や仕事、生活様式を考え、自分に適した方法を選びましょう。

CAPD(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis:連続携行式腹膜透析)

約5~6時間ごとに、バッグを交換し、24時間連続して透析を行います。

APD(Automated Peritoneal Dialysis:自動腹膜透析)

寝ている間に装置が自動的に4~7回液の出し入れを行います。
夜間だけでは不足になる場合、昼間に追加する方法もあります。

その他、 腹膜透析と血液透析を併用する方法もあります。
体調や仕事、生活様式を考慮して、自分に最も適した方法を選びましょう。

PDファーストについて
PDファーストが生存率において大いに優れているということをVan Biesenらのグループの研究で示す。HD患者223名のうち35名は、PDに変更になり、44名は移植を行い、残りの145名はHDを継続した。PD患者194名のうち32名がHDに変更していた HDを継続した症例とPDでスタートしてHDに変更した症例において生存率において明らかに有意差があることがわかった。

また、PDからHDに変更した症例とHDからPDに変更した症例においては、最初にPDで始めたほうが有意差を持って生存率が優れていることもわかった。 PDをHDのような完全なる透析療法と位置付けず、「保存期腎不全療法の補助・強化療法」と位置付けるならば、残腎機能が続く限り「腎機能保護・維持」を前提に必要最低限の透析効果が得られれば良いのではないか。

CANUSAの総Ccrをml/minに換算するとCANUSAターゲット総クリアランスは7.0ml/minとなる。例えば残腎クリアランスが7.0ml/minを切ったら透析導入するとしたら、PDの場合、透析液1本(約1ml/min)でスタートするだけで、ターゲット総Ccrは達成される。理論的には残腎クリアランスが暫時低減するにしたがい、腎機能保護・維持に留意しつつ、透析液の本数を暫時増加(Incremental PD)すればいいということになる。導入時からFull time, Full doseでPDスタートするタイプより、暫時透析液を増加させる方が、患者にとっても導入時の負担が少なく、保存期腎不全医療の補助、強化のための薬剤と同様の認識でPDをはじめられるのであれば、従来よりPD療法を受け入れやすいのではないか。

これまでの各EBMを総合して考えると、残腎機能が喪失するまでの生命予後はHDよりPDの方が優れており、残腎機能がPD患者の生命予後規定因子であることから、PDファーストで導入し、導入後も腎機能保護、維持を心がけることでPD療法の医学的メリットを最大化できることになる。

生体腎移植を受けられる患者さんへ

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